頭痛

頭痛診療は高校生以上が対象となります

頭痛で受診される方へ

頭痛の原因を正確に診断し、適切な治療につなげるため、脳の病気などによる「二次性頭痛」を除外する目的で、必要に応じて診察に先立ち頭部MRI検査を実施する場合があります。

頭痛の分類について

頭痛は症状を表す単語で身近な症状(よくある症状)ですが、疾患(頭痛性疾患)として国際頭痛分類第3版(ICHD-3)※に基づいて分類すると以下の3群に大別されます。

  1. 一次性頭痛(慢性頭痛):
    器質的な原因がない(=検査では異常がみつからない)頭痛
  2. 二次性頭痛:器質的な原因がある(=検査で異常がみつかる)頭痛
  3. 有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛およびその他の頭痛

頭痛を細かく分類すると367種類になりますので、典型的な症状がみられる場合を除いて、すぐに診断を確定することができない場合もありますが、命や脳神経機能に危険を及ぼす可能性がある二次性頭痛を除外した上で、詳細な問診からなる診断と治療をこころがけています。

※当院では、国際的な診断基準である「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」を参考に、症状の現れ方や経過を丁寧に確認し、患者さまの状態に合わせた診療を行っています。

一次性頭痛(慢性頭痛):
頭痛持ちについて

一次性頭痛(慢性頭痛):頭痛持ちについて

日本における慢性頭痛人口は約4,000万人と推定され、健康を脅かす重要な疾患となっています。

最も多いのは緊張型頭痛で有病率22.4%と報告されていますが、日常生活への支障度が高い片頭痛は有病率8.4%(約840万人)とされ、働き盛りの20〜40歳台の女性に多いのが特徴です。

片頭痛と緊張型頭痛

片頭痛は明確な疾患単位であるのに対し、緊張型頭痛の輪郭は不明瞭で、診断基準からもわかるように両者は相反する内容となっています。

実際には大部分の患者さんが片頭痛と緊張型頭痛の両方の要素をもっていますが、重症度の高い片頭痛が一定頻度あれば、片頭痛の治療を早期から開始することで慢性化を防ぎ、日常生活への支障度を軽減することにつながります。

一次性頭痛(慢性頭痛):頭痛持ちについて

頭の片側が痛いと片頭痛?

片頭痛患者さんの約60%は片側性ですが、両側の痛みを訴える方もいます。片側性の頭痛は女性に多くみられますが、片側性でも両側性でも前頭側頭部や眼窩の痛みが広がっていく経過をとることが多いです。

頭痛の部位だけで判断せず、痛みの程度や「日常的な動作によって頭痛が悪化するか」という点に着目する必要があります。

首・肩のこりがあれば緊張型頭痛?

首・肩の痛みは片頭痛患者さんの約2/3に認められます。さらに、片頭痛と緊張型頭痛は共存することも多いので、首・肩のこりのみでの判断には注意が必要です。

アルコール摂取で頭痛がしたら片頭痛?

アルコール飲料で片頭痛が誘発される頻度は20〜50%なので断言はできません。片頭痛を誘発させやすい食品としてチョコレート、チーズ、柑橘類、等が挙げられます。

画像検査は必要?CT?MRI?

画像検査は必要?CT?MRI?

一次性頭痛は血液検査をしても画像検査をしても、さらには薬の効果からも診断を確定し亜型を鑑別することができません。詳細な問診によってのみが手がかりになります。

しかし、頭痛の部位や出現形式、随伴症状によっては生命に危険を及ぼす可能性がある二次性頭痛を除外する必要があります。二次性頭痛の中で激しい頭痛(雷鳴頭痛)を来たす原因は「頭頚部血管障害による頭痛」に分類される疾患が多く、以下の疾患を考え除外する必要があります。

  • くも膜下出血
  • 未破裂脳動脈瘤
  • 脳静脈血栓症
  • 可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)
  • 頭蓋内動脈解離、特に椎骨動脈解離
  • 下垂体卒中

では、頭痛に対する画像診断には何が適しているのでしょうか?
CTとMRIは同じ画像検査ですが、それぞれに得手・不得手があります。どちらの検査が最適かは検査対象となる臓器によっても異なりますが、ここでは頭部検査(脳の検査)について記載します。

CTは放射線(X線)、MRIは磁力と電波を利用して体内の状態を画像化します。迅速な検査が可能で、緊急時の検査として適しています。一方、MRIは組織分解能(コントラスト)に優れ、病変をより明確に捉えることができます。また、造影剤を使用しなくても頭部・頚部の血管を描出することができます(MRA)。

  単純CT
(放射線(X線))
単純MRI
(磁力、電波)
検査時間 ◯ 短い(約5分) △ 長い(8〜20分)
放射線被曝 × あり ◎ なし
組織分解能 △ ◎ コントラストが明瞭
血管の把握 × ◯
体内金属 ◯ 撮影可能 △(金属による)
出血把握 ◯ ◎
脳梗塞把握 △(×)急性期は描出できない ◎ 急性期は描出可能

閉所恐怖症やペースメーカーなどの体内金属がない場合、「頭痛の診療ガイドライン2021」でも示されているようにMRIが第一選択として推奨されます。

MRIは磁場の強さによって0.4T(テスラ)、1.5T、3Tと種類があります。磁場が強いほど画像の質や検査性能が高くなります。
0.4Tは開放型(open MRI)が多く圧迫感が少ないのが特徴ですが、より詳細な画像検査には1.5T以上の機種が適しており、脳ドックにおいても1.5T以上のMRIが推奨されます。

頭痛に対する検査フローチャート

次に該当する方は検査を受けることができません

  • 心臓ペースメーカー留置手術を受けている
  • 人工内耳埋め込み術を受けている
  • チタン製ではない脳動脈クリップが入っている(20年以上前の手術)
  • 2ヶ月以内に血管内ステント留置術を受けている
  • 2週間以内に内視鏡によるポリープ切除でクリップを留置している
  • 1970年以前に人工心臓弁の手術を受けている
  • 眼球内に金属を使用している義眼を装着している
  • 美容用金糸を埋め込んでいる
  • 皮下や体内に異物があり、材質不明な場合

次に該当する方は検査を受けられない場合があります

事前にスタッフへお知らせ下さい。

  • アートメイクや刺青がある
  • 水頭症に対してシャント手術を受けている(例脳室-腹腔短絡術)
    事前に手術を受けた病院でMRI対応機器かご確認下さい
  • 人工骨頭、関節置換術を受けている
    近年MRI対応な材質になっていますが、古い材質には発熱する可能性があります
  • 磁石部分が脱着不可能な義歯をつけている(デンタルインプラント)
    事前に歯科医師にMRI可能かご確認下さい
  • 妊娠している可能性がある(妊娠16週未満の場合は検査できません)
  • 閉所恐怖症がある

(注)閉所恐怖症がある患者様へ
なるべく短い時間で検査を終えるよう調整します(最短8分)。加えて、

■当院ではMRI検査の質を高めるため、閉所恐怖症がある方へは鎮静薬(抗不安薬)を使用した検査を提案させて頂きます。
過去にMRI検査を断念されたことがあり、鎮静薬の使用をご希望の場合は予約時に記載をお願いします。

■鎮静検査後の運転は危険ですので、必ず公共交通機関を利用するか同伴者と共に来院されるようお願いします。

MRI検査を安全に行うため、下記のものは外して下さい

検査時には検査着へ着替えて頂きます。下記のものは外して下さい。

  • 経皮吸収貼付剤(貼り薬)、糖尿病に対する持続血糖測定器(リブレなど)
  • 電子機器類:補聴器、携帯電話、時計など
  • 眼鏡、コンタクトレンズ(特にカラーコンタクト)
  • ネックレス、イヤリング、ヘアピンなどアクセサリー類
  • UVケア用品やお化粧(マスカラ、アイシャドー、アイライン)を使用している場合は事前に落として頂くようお願いします
  • ネイル(マグネットネイル、フラッシュネイル、ストーン付きネイル)は事前に除去をお願いします

※磁気カード(キャッシュカード、診察券、定期券など)は検査室に持ち込むと故障または検査に影響を及ぼす可能性があります。

一次性頭痛の治療:片頭痛と緊張型頭痛を中心に

治療は急性期治療(痛みを止めるための治療)と予防療法(痛みの頻度と程度を軽減させる治療)の大きく2つに分けられます。頭痛ダイアリーを用いて患者さん個々の頭痛の特徴を把握し、非薬物療法(生活指導や頭痛体操)も取り入れながらアプローチしていきます。

急性期治療

緊張型頭痛

アセトアミノフェンとNSAIDs(下図のロキソニン®以下の薬剤)が中心に使用されます。急性期治療薬を週に2〜3日程度使用する患者さんでは“薬物使用過多による頭痛”を発症する可能性が高いため、漫然と長期使用しないことが大切です。

一般名 商品名 効果発現
(時間)
半減期(持続)
(時間)
アセトアミノフェン カロナール® 0.25〜2 1.5〜3
ロキソプロフェン ロキソニン® 0.45 1.22
イブプロフェン ブルフェン® 2.1 1.8
インドメタシン インフリー®
アセメタシン®
0.5〜2 4.5〜6
ジクロフェナク ボルタレン® 2.7 1.2
セレコキシブ セレコックス® 2.1 7

片頭痛

治療の中心となるのは薬物療法です。国際頭痛学会では理想的な急性期治療として以下の評価項目を挙げています。

  1. 2時間以内に頭痛が消失する
  2. 普段と同じレベルの活動が可能となる
  3. 不快な有害事象がないか最小限である

頭痛に悩まれている方は、薬局で購入可能な薬剤(OTC薬)やNSAIDsなどを既に内服していることが多く、その効果や内服日数にもよりますが、早期に片頭痛に特化したトリプタンやジタン、ゲパント製剤を処方しコントロールすることが望まれます。
以下に急性期治療の種類、特徴と薬剤選択についてまとめます。

片頭痛
  • 2026年2月時点において日本で使用できる薬剤を中心に記載しています
  • *は保険診療における片頭痛に対する適応外使用が認められている薬剤です
薬剤について

予防療法

予防療法の目的は「発作頻度と程度の軽減」、「急性期治療薬の反応性改善」=「薬剤の使用過多による頭痛の発症予防/離脱」です。

緊張型頭痛

緊張や運動不足、長時間の同一姿勢による頭蓋周囲筋の緊張状態によって、発痛物質を誘発された結果、疼痛閾値の低下することが緊張型頭痛の原因と考えられています。この状態が長期化すると痛みの伝達を抑制するシステムである下降性疼痛抑制系の機能が低下し緊張型頭痛が慢性化してしまいます。

予防療法の第一選択薬である三環系抗うつ薬の“アミトリプチリン”は、ストレスや抑うつへの効果だけではなく、上述した下降性疼痛抑制系の機能低下に対しても効果が期待できます。

以下に緊張型頭痛の予防薬を記載します(頭痛の診療ガイドライン2021. P276, 医学書院 より改変)

頭痛の診療ガイドライン2021. P276, 医学書院 より改変

保険診療で適応外使用が認められているのはアミトリプチリンのみです

片頭痛

対象:頭痛の診療ガイドライン2021では、「片頭痛発作が月に2回以上、あるいは生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある」方に予防療法を検討する、とされています。

目標:国際頭痛学会において理想的な予防療法の目標は「中等度〜重度の頭痛を伴う日数が皆無となり、理想的には3ヶ月にわたって達成されるもの」とされています。勿論、片頭痛が無くなることが理想ですが、外来診療では「頭痛日数が50%以上減少」し、「急性期治療薬の効きが良くなる」ことを一つの目標としています。

使用薬剤:以下に片頭痛予防薬をまとめます。

使用薬剤

日本で開発された降圧薬(Ca拮抗薬)であるロメリジンが片頭痛予防薬として保険適用となった後、抗てんかん薬のバルプロ酸や抗うつ薬のアミトリプチリンが適用追加となりましたが、十分に恩恵を受けられない片頭痛患者さんが多く存在しました。

そのような中で、片頭痛の病態において中心的な役割を担う痛覚シグナルであるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)や、その受容体に対する抗体薬(抗CGRP薬)が2021年に登場しました。抗CGRP薬はその有効性と安全性から片頭痛治療のパラダイムシフトを起こしています。

片頭痛予防薬の変遷

片頭痛予防薬の変遷

抗CGRP抗体薬・抗CGRP受容体抗体・抗CGRP受容体拮抗薬一覧

抗CGRP抗体薬・抗CGRP受容体抗体・抗CGRP受容体拮抗薬一覧
抗CGRP抗体薬・抗CGRP受容体抗体・抗CGRP受容体拮抗薬一覧

群発頭痛

片側の頭痛発作に、同側の頭部自律神経症状を伴うことを特徴とする一時性頭痛を「三叉神経・自律神経性頭痛(trigeminal autonomic cephalalgias:TACs)といいます。TACsには代表疾患である以下の4つに分類されます。

  • 群発頭痛:cluster headache (CH)
  • 発作性片側頭痛:paroxysmal hemicrania (PH)
  • 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作:short-lasting unilateral neuralgiform headache attacks: SUNHA)
  • 持続性片側頭痛

TACsは睡眠との関連があり視床下部が発生源であるとする説や、自律神経症状を伴うため内頚動脈周囲に発生源があるとする説など、様々な原因が考えられています。
*自律神経症状とは?→結膜充血、流涙、鼻漏、縮瞳、眼瞼下垂など症状をさします。

群発頭痛は“男性”(女性の3〜7倍)の20歳台に多く認められる頭痛です。典型症例では激しい頭痛が頭の片側に短時間(1〜2時間)、かつ一定期間(1〜2ヶ月)にわたって同じ時間帯に出現します。ICHD-3の診断基準を添付します。

群発頭痛の診断基準
A B〜Dを満たす発作が5回以上ある
B 程度:重度〜極めて重度
部位:片側で、眼窩部、眼窩上部または側頭部のいずれか1つ以上の部位
時間:15〜180分間持続
C 以下の①②のうち、1項目以上を認める
① 頭痛と同側に少なくとも以下の症状の1項目を伴う
A 結膜充血または流涙(あるいはその両方)
B 鼻閉または鼻漏(あるいはその両方)
C 眼瞼浮腫
D 前額部および顔面の発汗
E 縮瞳または眼瞼下垂(あるいはその両方)
②落ち着きのない、あるいは興奮した様子
D 発作時間に半分以上においては、発作の頻度は1回/2日〜8回/日である

*歯や顎、鼻、耳に痛みを伴うことがあります。

*三叉神経痛と誤って対応されている場合も少なくありません。
判断が難しい場合は三叉神経痛の治療経験がある脳神経外科を受診しましょう。

*群発頭痛の約3割に悪心や嘔吐、光や音過敏といった片頭痛の随伴症状を伴うことがあります。頭痛の出現時期や持続時間に注意が必要です。逆に、時に片頭痛に軽微な自律神経症状を認める事もあります。

診断

群発頭痛の治療を行う際には二次性頭痛の除外とTACsの鑑別診断が必要になります。

鑑別すべき疾患

二次性頭痛
  • 椎骨脳底動脈解離
  • 内頚動脈海綿静脈洞瘻
  • 下垂体神経内分泌腫瘍
  • 急性閉塞性隅角緑内障
  • 急性副鼻腔炎
  • 歯原性
有痛性脳神経ニューロパチー
  • 三叉神経痛
  • 帯状疱疹

TACsの鑑別

TACsの鑑別
二次性頭痛の除外

群発頭痛は非発作時に受診することがほとんどなので、詳細な問診より診断する必要がありますが、自律神経症状の有無については発作時に写真を撮って頂くことも有用な手がかりになります。
しかし、初発の場合や非典型的な症状があれば、二次性頭痛を除外するためにMRI・MRAを施行する必要があります。

また、帯状疱疹では稀に皮疹を伴わない無疱疹性帯状疱疹(Zoster sine herpete)があるので注意が必要です。

TACsの鑑別

頭痛発作の持続時間・発作回数により大まかな診断をつけながら、トリプタン製剤やインドメタシンによる治療反応性から診断的治療を並行する必要があります。

治療

治療には急性期治療(頭痛薬)と予防療法があります。また、片頭痛と群発頭痛が併存することもあるので生活障害度を見極めて治療内容を決定する必要があります。

◯急性期治療(痛み止め)

  1. スマトリプタン皮下注射
    保険適用外ですが、スマトリプタン点鼻薬やトリプタン経口薬が有効な場合もあります
  2. 酸素吸入(90%以上の高濃度酸素で15分間、7L/分の吸入)
    スプレー缶式の酸素吸入は濃度が不足するため効果がありません

◯予防療法

  1. ステロイドによる一時的予防療法:60~100mg/日で開始し漸減
  2. ベラパミル内服

◯就寝中の発作予防に対してメラトニン受容体作動薬のラメルテオンの有効性も報告されています。

慢性連日性頭痛

毎日のように頭痛が出現することを慢性連日性頭痛といいます。具体的には、「1日に4時間以上の頭痛が1ヶ月に15日間以上続く頭痛」と定義され、以下の頭痛型が該当します。

  • 慢性片頭痛
  • 慢性緊張型頭痛
  • 新規発症持続性連日性頭痛
  • 持続性片側頭痛
  • 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)

「慢性化」とは、最初は月に数回の頭痛だったのが、だんだん回数が増えて、脳が痛みを起こしやすい状態に変わってしまうことをいいます。

片頭痛を例にとると、ゲパント(抗CGRP受容体拮抗薬)を除く経口予防薬は、安定した効果発現に1〜2ヶ月を要し、すぐには効かないことが欠点です。また、副作用が出現することもあり、そのために途中で治療をやめてしまうことが多いと報告されています。予防薬の中断や、効果不十分な急性期治療(痛みを止めるための治療)は片頭痛を慢性化させるリスクにつながります。

月に15日以上の頭痛を認めるようになる慢性片頭痛へ移行してしまうと(年間約3%が慢性化)、診断はもちろん、治療抵抗性となり日常生活への支障度が大きくなってしまうので、「慢性化させない」ことが大切です。

慢性連日性頭痛

薬物使用過多による頭痛

もともと頭痛持ちの方が鎮痛薬を頻回に内服すると、元の頭痛が悪化したり、または元の頭痛に加えて鎮痛薬による新たな頭痛が起きることがあります。この様な頭痛を「薬剤の使用過多による頭痛(medication-overuse headache(MOH))」といいます。

MOHは40〜50歳代に多く、繰り返される頭痛発作と鎮痛薬の過剰内服による下降性頭痛抑制系が障害されることなどが原因と考えられています。
鎮痛薬の飲みすぎてしまう原因となる頭痛は片頭痛が多く、原因薬剤は日本では市販の鎮痛薬が最も多いようです。

下降性疼痛抑制系

脳が脊髄に向かって“痛みを弱める指令”を送るシステムです。このシステムのしっかり働くと鎮痛効果が得られやすく、逆に弱まると痛みが慢性化しやすくなります。三環系抗うつ薬や、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)のデュロキセチンは、このシステムを強める作用があります。

MOHの診断基準と、何日の内服で乱用とみなすかを以下の表にまとめます。

A 以前から頭痛疾患を持つ患者において、頭痛が1ヶ月に15日以上存在する
B 1種類以上の急性期または対症的頭痛治療薬を3ヶ月を超えて定期的に乱用*している
C 他に適切なICHD-3の診断がない
* 鎮痛薬の乱用と判断する使用日数
1ヶ月に10日以上で乱用と判断する鎮痛薬 1ヶ月に15日以上で乱用と判断する鎮痛薬
〇トリプタン⁺ 〇アセトアミノフェン:カロナール®
〇オピオイド:トラマール®、アンペック® 〇アセチルサリチル酸:アスピリン®、バファリンA®
〇複合鎮痛薬:SG配合顆粒®、市販鎮痛薬 〇その他のNSAIDs:ロキソニン®、ブルフェン® など
〇単独では乱用に該当しない複数鎮痛薬の組み合わせ合計  

⁺ イミグラン®、ゾーミッグ®、レルパックス®、マクサルト®、アマージ®

MOH併発により加わった頭痛は、元の頭痛に似ていることもあれば異なることもあります。頭痛が1ヶ月に15日以上あり、これに対し鎮痛薬を頻回に内服している場合は、受診するまでの頭痛の経過と現在の状況を確認する必要があります。

  • 鎮痛薬を内服する原因となった頭痛に関して、過去に頭痛を自覚された頃からの経過を確認し、背景にある頭痛を把握する
  • 頭痛ダイアリーを用いて頭痛の状況と鎮痛薬の内服日数を客観的に把握する

Photo by Toshihisa Ishil
© がなは頭痛脳神経クリニック