頭部打撲・外傷
頭部外傷後の注意事項
頭部外傷とは交通事故や転倒、スポーツなどで頭に衝撃が加わった状態を指します。頭を強くぶつけると、ぶつけた直後や診察時には異状がなくても時間の経過とともに、意識障害が出現することがありますので、適切な観察が大切です。以下の症状がある場合は病院(夜間は救急外来)を受診して下さい。抗血栓薬を内服している方は特に注意が必要です。
- 頭痛が強くなる
- 吐き気や嘔吐が頻回(3回以上)にある
- 「めまい」や「ふらつき」がひどくなる
- けいれんを起こす
- 手足の「動かしにくさ」や「しびれ」がある
- 意識がはっきりしない、名前を呼んでも返事をせず目がうつろで閉じてしまう

- ぶつけてから24時間、特に6時間以内は特に注意が必要です。
帰宅し寝入った後も、同じ姿勢をとり続ける場合は起こしてみましょう。受け答えがいつも通りか確認して下さい。 - 帰宅後、食事はなるべく軽いものにして下さい。
- 当日シャワーで軽く洗うのは問題ありませんが、入浴は翌日からにして下さい。
- 縫合処置を受けた場合
- 傷口は、爪を立てず指の腹で優しく洗いましょう
- 抜糸、抜鉤(医療用ホッチキス)の目安は1週間後です
- 傷口が赤く腫れたり、痛みや膿が出たり、熱でてきたら早めに受診して下さい

こどもの頭部打撲 注意事項
診察の結果、現時点では入院の必要はありません。
頭をぶつけてから24時間〜48時間は、周囲の大人が経過を観察して下さい。
帰宅後の注意事項
- 当日はできるだけ静かに過ごしましょう(運動は控えて下さい)
- テレビの視聴やスマートフォンの使用は控えましょう
- 自動車などの乗り物に乗っての遠出は避けましょう
- 入浴は控えて下さい(状態に変化がなければシャワーはOKです)
- 水分(水、お茶、リンゴジュースなど透明な飲料水)を摂取しても嘔吐がないようであれば、食事の制限はありません
- 暴飲暴食は避け、おなかにやさしいものを摂取しましょう
- 少なくとも1歳未満で48時間、1歳以上で24時間は保育園をお休みして、自宅で経過をみましょう
下記にひとつでも当てはまる場合は再受診して下さい
- 表情や会話がいつもと違う(ぼんやりしている)
- 何だか元気がない
- 何度も吐いている
- 手足の動きが悪い(寝ていても数時間おきに触ってみましょう)
- けいれんが起きた
頭部外傷による症状や回復までの時間は様々です。数時間で元気になるお子さんもいれば、数週間症状が続いてしまうお子さんもいます。お子さん自身の体調をみながら、無理のないスピードで活動の幅、範囲を広げて下さい。
頭部外傷と抗血栓療法
抗血栓薬は、血液を固まりにくくして血管が詰まるのを防ぐ薬です。
脳梗塞や心筋梗塞、不整脈(心房細動)などの予防・治療に広く使われています。
高齢者(65歳以上)の頭部外傷患者における抗血栓薬服用率は約30%と報告されており、抗血栓薬を服用している患者群では、以下の特徴があります。
抗血栓薬を服用している方は、「軽くぶつけたからだけだから大丈夫」と思わず、早めの受診と経過観察を心がけて下さい。
- 受傷原因として転倒、転落といった低エネルギー外傷の頻度が高い
- 出血性病変を認める頻度は高い
- 初診時は問題なくても、数時間から翌日に悪化を認める頻度が高い
主な抗血栓薬の種類
抗血小板薬
プレタール®、バイアスピリン®、タケルダ®、キャブピリン®、クロピドグレル®、エフィエント®
抗凝固薬
ワーファリン®、エリキュース®、イグザレルト®、プラザキサ®、リクシアナ®
慢性硬膜下血腫とは

成人(特に高齢者)の場合、軽い頭部外傷でも数日〜数ヶ月後に頭痛や麻痺、手足のしびれ、認知症の症状(つじつまが合わない、物忘れがひどい)がみられることがあります。このような場合、代表的な原因として「慢性硬膜下血腫」が挙げられます。
慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後に脳の表面(硬膜と脳の間(硬膜下腔))にゆっくりと血液がたまり、脳を圧迫する病気です。高齢者に多く、軽微な頭部外傷の後、数週間~数ヶ月経ってから症状が出現するのが特徴です。
症状がゆっくり進行するため、「何となくおかしい」がサインになることも多くあります。
受診の目安
- 頭部打撲の既往があり、徐々に頭痛やふらつきがでてきた
- 認知症の様な症状が進行している
- 片側の手足が動かしにくい
治療は症状の有無や血腫の大きさに応じて決定されます。
症状がない場合:定期的に画像検査を行い経過観察します。
症状がある場合:手術治療(穿頭洗浄ドレナージ術)。頭に小さな孔をあけて血液を抜く方法です。
慢性硬膜下血腫は、治療することで症状の改善が期待できる病気です。「年齢のせいかな」と思われる変化の中に、治療可能な病気が隠れていることがあります。気になる症状がある場合は、早めにご相談下さい。