顔の痛み・ピクつき

脳神経圧迫症候群

顔のピクつきや、突然走る顔の痛みは、日常生活の中でとても気になる症状です。「疲労」や「ストレス」が原因と思われることも多いのですが、その原因のひとつに脳の中で神経が血管に押されている状態(圧迫)が関係していることがあります。

顔の感覚や動きをつかさどる神経は、脳幹からでた後 血管と隣接して走行しますが、この血管が神経に触れ、長い年月の中で圧迫に至り以下の症状が起こることがあります。

✔️ 顔がピクピク動く(顔面痙攣) 
✔️ 顔に痛みが走る(三叉神経痛)

この様な疾患を脳神経圧迫症候群といいます。診断には症状を詳しく把握することが最も重要ですが、MRI検査によって神経と血管の関係が詳しく把握することができ、病状の原因を見つけやすくなってきました。

治療には、お薬で症状を和らげる方法と、原因になる圧迫を解除する手術などがあり、症状の程度に応じて選択することが大切です。

顔面痙攣 (片側顔面痙攣)

症状と原因

顔の片側が、自分の意思とは関係なく痙攣する(ピクピク動く)病気です。

最初は片側の下眼瞼から症状が出現し、緊張したときなどに生じる程度ですが、進行すると同側の上眼瞼や口角に波及し 日常的に生じるようになることがあります。さらに痙攣が強くなると、顔のつっぱりによる表情変化や筋肉の麻痺を生じ、対人関係における精神的ストレスや自動車運転の問題を生じることもあります。

原因として、顔面表情筋の運動を司どる顔面神経が蛇行した頭蓋内の血管に圧迫されることが重要な要因と考えられていますが、機序については十分に解明されていません。また、脳腫瘍によって二次的に生じることもありMRI・MRA検査が推奨されます。

★痙攣は基本的には「片側」のみ:反対側の顔面には同期した痙攣を認めません。

治療

病気そのものは生命に関わるものではなく、片側顔面痙攣に対する明確な治療選択基準もありません。症状の程度、罹病期間、日常生活支障度より、患者さんの意思を尊重して治療方針を決定していく必要があります。

内服治療

カルバマゼピン(テグレトール®)、クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)、ガバペンチン(ガバペン®)の効果が知られていますが、その治療効果は乏しく第一選択にはなりにくいといえます。

ボツリヌス毒素療法

日本では2000年にA型ボツリヌス毒素製剤による治療(痙攣している筋肉への注射)が承認され、有効性と安全性が示されています。
注射後2〜3日で効果が出現し、平均して約4ヶ月効果が持続しますが、根治療法ではなく定期的に注射を繰り返す必要があり、合併症として一時的な顔面麻痺をきたす可能性があることに注意が必要です。

外科的治療(手術)

顔のけいれん・痛み・ぴくつき
顔のけいれん・痛み・ぴくつき

唯一の根治療法で、80~90%の高い寛解率が得られます。
しかし、繰り返しとなりますが本疾患は生命に関わる疾患ではなく、生活の質を向上させることが治療目標です。外科的治療のメリットとリスクをよく理解した上で最終的な結論を出すことが肝要です。

三叉神経

三叉神経痛とは

画像検査は必要?CT?MRI?

三叉神経は顔面の感覚を脳に伝える神経で、3本の分枝が目の周り・頬・顎の感覚を脳に届けています。三叉神経が原因で起こる疼痛の代表疾患が三叉神経痛です。

三叉神経痛は片側性の顔面痛で、様々な要因で「電気ショックのような、ズキンとするような、突き刺すような」痛みを引き起こします。

分類

三叉神経による疼痛は国際頭痛分類第3版(ICHD-3)では以下2つに大別されます。

① 三叉神経痛
② 有痛性三叉神経ニューロパチー


典型的三叉神経痛では、血管による頭蓋内の三叉神経節の圧迫・形態的変化が原因となりますが、二次性三叉神経痛では頭蓋内の腫瘍病変によって痛みを生じることがあります。

症状

三叉神経痛は、洗顔や歯磨き、食事などが誘因(トリガー)となって繰り返し痛みを生じます。通常は「片側」で三叉神経第2枝と第3枝(右図の青と黄色の領域)に多く、知覚障害は認めません。一方、有痛性三叉神経ニューロパチーは神経障害性疼痛であり、その痛みは持続性で、感覚鈍麻などの感覚障害を認めます。

三叉神経の療法

三叉神経痛は非ステロイド系抗炎症薬(ロキソニン®など)には治療抵抗性のことが多く、カルバマゼピン(テグレトール®)が90%以上の症例で著効します。
しかし、眠気やふらつき、薬疹、肝機能障害などの副作用が起こりえます。そして眠気やめまいといった軽度の副作用は容量依存性に出現するので、ゆっくり増量する必要があります。

外科的治療(手術)

顔のけいれん・痛み・ぴくつき
顔のけいれん・痛み・ぴくつき覧

三叉神経痛の手術適応には明確な基準がありません。内服薬でのコントロールが難しいか、副作用によって継続使用できない場合、根治を希望する時が手術治療を選択するタイミングです。
顔面痙攣の手術と同様、外科的治療のメリットとリスクをよく理解した上で最終的な結論を出すことが肝要です。

放射線手術

薬物治療でのコントロールが難しく、手術における全身麻酔のリスクが高い場合にガンマナイフ治療が有効です。有効性の高い治療ですが、外科的治療に有効率には劣ります。

治療後の合併症として顔面の感覚障害が挙げられ、約20%に発症します。

Photo by Toshihisa Ishil
© がなは頭痛脳神経クリニック